FIFTHWORLD
SUMMER JOURNEY 2010

STORY

『LOST CRESTS』第四楽章(前編)
〜発見 #2〜


このままでは時間がない、と意を決した彼女たちは小屋の入り口の布を勢いよくまくりあげた。そこには、着古してボロボロになった黒いドレスに身をまとう長い髪の少女が、彼女たちの世界から失われた「ピピの紋章」と、もうひとつ彼女たちの世界にあるはずの「エングゥの紋章」を大切そうに抱きかかえながら椅子に座っていた。

「なぜ?なぜ、ピピの紋章だけでなく、エングゥの紋章がここにあるの?ふたつの紋章が消えているのなら、私達の世界の平和はすでに失われているはずなのに・・・」

そうつぶやくミーニャはもちろん、3人はその事態に混乱し理解することができなかった。

混乱する巫女達に向かって、黒いドレスの少女はこちらも見ずに泣き出しそうな表情でつぶやいた。

『どちらの世界でも私は受け入れてもらえなかった・・・おねえちゃんたちは自分たちだけのためにここに来たんでしょ?』

巫女たちは、自分たちが悪いことをしているかのような少女の言葉に耳を疑った。
しかし、驚いたことに、ふたつの紋章は呼応するように自然にほのかに光りだしている。それまで彼女たちが一度も見たことのない瞬間が起きている。

黒いドレスの少女が続けた。

『あたしのおばあちゃんのそのおばあちゃんのそのまたおばあちゃんからの言い伝えでね、おねえちゃんたちの世界と、ここからすぐ近くの世界はもとはひとつの世界で、みんな仲良く暮らしていたって聞いてきたの。

ここはね、本当はその隣に大きな祭壇と立派な色がいっぱい使われた神殿があった場所。そして、この家は、その頃の番人が暮らしていた家なのよ。』

巫女たちは少女が言っていることが信じられなかった。

「こんな家に住んでいるんだ。きっと何か食べ物や私たちの生活で使うものをめぐんでほしいだけの戯言に違いない・・・」

そう思っていた。しかし、少女の言葉が熱を帯びるにつれて、ふたつの紋章はさらに輝きを増している。

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